半年ほど捕虜として地下牢で暮らした捕虜は連れられてきた頃から見ればかなり筋肉が落ちて衰弱しているようだったが
妙に瞳がギラついており、その頃は『それ』が『そう』だとは解らなかった、『雄の臭気』を濃厚に放っていた。


これが、男の戦士。


座学知識にあるとおり、確かに身長は高く、幅の広い骨格が成す体躯も筋肉が衰えて尚屈強そうな印象を醸し出している。

……しかし、逆に言うのなら『それだけ』だった。

既に剛柔心技の初歩を体得している少女達は単純な筋力が強さではないことを理解していたし、
またそれは精神的な強さのみならず、実際に槍剣を打ち合わせた際の結果にまで結びつく事を経験している。

その点からすると、やはりどう見比べても『先生』の方が、圧倒的に強く、気高く、美しい。


対する男からは表情歩行所作のどれをとっても芯が無く、ばらけて散り散りの先端を揺らすような精神性しか見受けらない。

いかにも剛力のみが強さと言わんばかりの身体作りをしてきた肉付きの跡が、
噛み付く事しか能の無い、獣の中でも質の低い部類の劣等野獣めいた印象を感じさせた。



とは言え、彼が固体としてひと際劣っている訳でもないだろう。
『男』という生き物について教える引き合いにつれてこられたわけだから、
おおよそアマゾネス達が見てきた『男』の中から平均値に近い者が選定されたはずだ。


しかしこの程度のものが、『男』というものの水準だとするなら、
なんて取るに足らない存在だろう。



きっと、王のように逞しい獅子殿方なんて、この世に指折り数えるほどしか居ないのだ。

というのが、リース含む少女達の、最初に抱いた感想だ。



正直言ってそれは人間ではなく、飢えた獣を見ているようだった。



――けれども……だからこそ、ショックだった。



『先生』が。
……少女達の『お姉さま』が、

あんなにも下賤な分際に組み敷かれ、貪られ、汚されながら、媚び艶鳴いて恍惚の表情を浮かべる淫辱の光景は……。





   

 

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