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「嫌…嫌…いや……」


『異種族のバケモノ』から、『男』として認識が変更された触手達が
その瞬間からたちまち恐怖の象徴そのものとなり、
恐ろしい勢いでリースの心から気力と勇気を削り取ってゆく。


「もう…やめて……。 これ以上…私を作り変えないで……」


もとより臆病な所のあった幼いリースが心に持つ勇気は、あくまで訓練によって培われた、正義心と責任感依存のものだ。
所詮外付けされたものに過ぎないそれは、物語の英雄のように不条理なまでの不撓不屈とは行かない。


「た…助けて……だれか……お父様……先生……アルマ…………」


臆病だった『幼いリース』へと還されてしまった今、
その呼吸は冷たく加速し、

肩を激しく上下させている上では
脂汗で髪を張り付かせた美しくも艶めいた顔が蒼白と発情色の間に混乱した桜色を浮かべ、

襲い来る淫らな感覚を脳手前で塞き止めようとしているように寄せ固められていた眉間はしかし、
その両端で眉尻を力なく落としている。


……それは触手達が今まで幾千もの世界に湧き出しては捕らえ、辱め、犯しぬいてきた力ない少女達が
自分の立場と行く末を理解した瞬間に浮かべる、餌食の表情。


今や彼女の胸に残るのは、槍一本分の総量僅かなアマゾネスの矜持と、
それ以外の全てを埋め尽くす圧倒的な恐怖だけだった。




細舌で乳首根元を縛り上げていた『蛇』が身を引いて触手群の中に溶け込み、
新たな姿を得ようと犇き蠢く。

ようやく開放された乳首はびくんっびくんっと上下に脈打って跳ねながら
溜まりきった血液を乳輪の中に吐き出して収縮し、
程なく、醜い指型から愛らしい苺型へと姿を戻していった。




それでも戻りきる事はなく、これまでよりも大きく膨らんだ状態で収縮をやめてしまったが
乳首の代わりに血を吸ってぷっくり肥えた乳輪との対比のお陰でそれほど大きくは見えなくなる。


が、乳輪ごと勃起した乳先はそれそのものがひどくいやらしい形になっていて、
ただでさえ乳部をコンプレックスとしているリースに途方も無い恥辱を味わわせる結果となった。


「ぐすっ…ぁぁ…ひ…ひどい………私の身体……」


絶望的な泣き顔を見せながら、しかしそれでも彼女の手から最後の矜持――槍は離れない。


リースの胸を離れてしまった勇気は連綿と受け継がれてきたアマゾネス達の誇りによって、朽ちかけた槍に留まり、
最後のアマゾネスとなってしまった少女を健気に励まし続けているのだった。



二三度それを引っ張り、やはりまだ引き剥がすには足らないとして、触手は次の攻め手に出る。



   

 

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